タイバーツ高の影響によって起こる8つの見解について
Ecomonic Intelligence Centerは「Outlook Quarter 1 2020」に2019年度及び2020年度のタイ経済状況を評価した。4つの主題を通して8つの影響を以下に述べている。
第1章 輸出業と観光業における影響
1、バーツベースでの輸出収入が減少した。
2016年から現在まで、バーツベースでの輸出額が米ドルベースでの輸出額より低く、2019年はさらに減少した。米ドルベースでの輸出額は前年比の2.8%減少したが、バーツベースでの輸出額は前年比の5.6%減少した。
2、観光客1人当たりの旅行消費額が減少した。バーツの高騰により、観光客が使う金額が減少した。
2016年の観光客1人あたりに対する平均費用は50,216バーツであったが、2019年になると平均48,528バーツとなった。
3、一部タイ製品の競争力が低下した。特に、輸入量が少ない製品であるが、タイ製品の全体的な輸出は、世界市場でのシェアを失ってはいない。(2011年から2015年のタイの世界市場における輸出の割合平均は1.2%、2016年から2018年までは 1.3%である。)タイの輸出が世界市場で競争するという事実を反映している。しかし、過去4年間でのタイバーツ高は20%近く、輸出業者の価格競争を起こしている。
第2章 輸入と外国への観光業に対しての影響
4、タイ人は国内で生産された製品よりも、より多くの輸入製品を消費している。
タイバーツ高につれ、輸入品の価格が安くなり、消費者は輸入製品を購入するようになったからである。輸入製品の割合に反映し、消費財、非耐久消費財 (サービスと車を除く)は継続的に増加している。 輸入品の大部分は、電化製品、野菜、果物、石鹸、洗剤、化粧品などの商品で、輸入は主に中国、ベトナム、日本、米国からである。
5、タイ人が国内旅行よりも海外旅行に行くようになった。
タイバーツ高の影響だけでなく、LCC便の拡大やタイ人がビザなしで渡航できるようになったこともあり、海外旅行の費用を抑えることができるようになった。これらの理由で海外旅行をするタイ人が増えた。
第3章 輸出業輸入業への国際投資に対しての影響
6、タイの工場建設コストが高くなることにより外国人の投資者にとってメリットが減少した。
(外国投資家は最初にタイバーツで外貨を交換する必要があるため)
その他に、タイバーツ高が輸出品の価格に影響を与え、外国人投資家はタイで輸出向け製品製造の投資を減少させた。
7、特に2016年以降、タイバーツが高くなるにつれて、タイ人が長期にわたり外国に投資をするようになった。為替でより多く外貨を交換できるため、外国投資のコストを安くした。
第4章 エネルギー製品価格とインフレ率への影響
8、2017年から2018年の間、タイ国内の原油価格は世界市場の原油価格より低下した。
世界の原油価格は上昇したが、バーツ高の影響で世界市場から石油輸入のコストが低下し、タイ国内の石油小売り価格は上昇しなかった。原油の価格が下がると国内価格はさらに引き下げられた。このような状況により、タイのエネルギー製品価格指数が低下されたことは、タイにおいて低インフレが続いている主な理由のひとつである。